治療学 特集 慢性疼痛とはなにか

宮崎東洋 慢性疼痛とは何か 治療学 2005;39(8):785-787

  • IASP 国際疼痛学会の痛みの定義
    • an unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms such damage
    • 実際に組織損傷がおこったか、または組織損傷の可能性がある時、またはそのような損傷をあらわすことばによって述べられる不快な感覚および情動体験
  • 慢性疼痛
  1. 侵害受容性疼痛 生理的な痛み
  2. 神経因性疼痛 神経系の一次的な損傷やその機能異常が原因となる痛み、もしくはそれによって惹起される痛み
  3. 心因性疼痛 説明しうる器質的病変がないにもかかわらず訴えられる痛み、または器質的病変は存在するが、それにより十分説明し得ない痛み

南敏明、辰巳真一、伊藤誠二 アロディニアの発現と抑制 治療学 2005;39(8):797-799

  • allodynia pain due to a stimulus which does not normally provoke pain
  • ロディニアの発現維持に、NMDA受容体-NO系が大きな役割を果たしている

富永真琴 カプサイシン受容体 治療学 2005;39(8):815-819

  • 唐辛子の主成分であるカプサイシンcapsaicinは辛みの成分であるとともに、発痛物質でもある
  • その受容体 TRPV1 温度受容体 三つの有効刺激 カプサイシン、熱、プロトン
  • TRPV2,3,4,TRPM8,TRPA1などあり
  • 慢性疼痛へのTRPV1の関与が推測される

木口倫一、植田弘師 リスホスファチジン酸受容体 治療学 2005;39(8):820-822

  • 神経因性疼痛における脱髄現象の関与
  • 脱髄状態となった有髄線維(Aβ、Aδ線維)が隣接する有髄線維および無髄線維(C線維)との間に電気的な混線状態(エファプス)を生じることで侵害情報の拡散が起こるとともに、神経の異常突起進展(スプラウティング)によって有髄線維が無髄線維の領域に誤入力することが原因
  • LPAがこの脱髄をともなう慢性的な神経因性疼痛の原因分子であることを初めて報告