波平恵美子 医療人類学から見た痛み1 多様な痛みへの意味付けと対応 痛みと臨床 2006;6(1):124-129
- 痛みは人間にとって普遍的な感覚であるが、それについての意味付けは文化によって異なるし、もしかしたら感覚の閾値にも差があるかもしれない
- 痛みは身体感、さらには世界観との関係で意味付けられ、解釈される
- 痛みの治療が困難であるのは、生物医学に基づいた人間の存在についての知識から外れたところにのも痛みの原因があることを示唆する
- パプアニューギニア
- 自分だったら痛くてたまらないだろうとおもうような傷を負っているのに、ほとんど訴えないで遊んでいる子供の姿をみて驚くことがある
- 重症アトピー皮膚炎 ニコニコしている。眉間にしわをよせていない
- 出産のいたみ 個人差があるだけではなく同じ女性でも一回ごとに痛みの状態はかわる
- これほど普遍的な身体的痛みに対しても人間は多様な対応と解釈を与える。それは、痛みが人間存在のありようと深く関わる経験であり、痛みを感じる当人だけではなく周囲の人々の不安感や感覚にも影響をあたえるからである。
松岡綋史、坂野雄二 認知行動療法1痛みをどう理解するか 痛みと臨床 2006;6(1):130-134
- 痛みの定義 組織の実質的あるいは潜在的な損傷に結びつくか、このような障害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚情動体験である
- 痛みは相互に影響し合うさまざまな要因によって修飾されて表現されるものであり、心理社会的な要因も重要な役割をになっている。
- 慢性疼痛の場合、痛み行動は組織損傷から予想されるより過剰に引き起こされていることが多い
- こうした行動は、周囲から心配してもらい注意を向けてもらえる
- 家事など身の回りの仕事をしなくてすむ
- 運動をすることによって生じていた痛みがなくなる
- 家族が痛み行動のかわりとなる望ましい行動を強化しないなどの理由で維持されている
- 感情面
- 痛みに対して恐怖、回避行動
- 抑うつ
- 家族や周囲のひとの反応は、痛み行動や慢性疼痛に対する治療効果に影響を及ぼしている
- 例
端詰勝敬、藤井裕一郎、岩崎 愛 痛みの背後にあるうつの見つけ方 痛みと臨床 2006;6(2):200-204
竹内寛治、福永幹彦 うつを伴う痛みへの初期対応の実際 痛みと臨床 2006;6(2):218-221