#2 宮川眞一、中井吉英: 高齢者への心身医学的アプローチ Geriatric medicien 2002;40(10):1439-1442

文献1

  • 慢性の疼痛を訴える患者を診察する際には、疼痛に対する治療だけでは不十分であることが多く、心理・社会的要因まで含めた病態の評価と治療介入が必要とある
  • 高齢者の慢性疼痛の病態における特徴
    • 老化の定義ー加齢による生殖能力の低下や死亡率増大を伴う進行性の機能喪失
    • 社会支援システムの脆弱した現在、喪失体験、社会的孤立にある高齢者では、痛み行動を他とのコニュニケーションの手段として訴えることも少なくない
  • 治療
    • 基本心理療法 受容、保証、支持的態度を初診時から継続
    • 心理機制に対する介入開始の目安 睡眠、食欲、活動レベルの回復時
    • 生活の満足度を痛くなかったかどうかではなく、必要な生活ができているかどうかで判断
    • どのようなメカニズムで疼痛行動が維持されているか分析
    • 強化因子の消去 (中立的態度)
    • 単に強化因子を消去するだけでなく、適応的対処行動をとれるようにする

文献2

  • 高齢者における獲得課題と心理的危機は統合と絶望
  • 課題が達成されることによって得られるものは英知の獲得
  • 英知とは、死に向かう存在の受容
  • 平均寿命の延長ー死に向かう存在として、高齢者は否応無しに葛藤を長くいきなければならなくなってきた。
  • 高齢者の心理の特徴
    • 自分に都合の悪いことは否認する
    • 老人は見栄坊である:衰えと弱体化の否認
    • 病は恐れるが死の近づきは認めない:心理的合理化
    • しばしば被害的になる:喪失の不安のため生じた怒りを投影する
    • 人の不幸に関心を持って口にする:自分の不幸や不安の打ち消し
  • 高齢者の機能低下を彼らが受容し、障害とともに生きる姿勢を医療スタッフや家族がどのように援助するか、リハビリテーションのゴールをどこにおくか、残された人生の質をどのように高めるかと言った問題は、高齢者の医療において今後大きな領域を占めて行くであろう