住谷昌彦

CRPSの深部組織の痛みのメカニズム

住谷昌彦、大住倫弘 CRPSの深部組織の痛みのメカニズム PAIN RESEARCH 2017;32:8-12 CRPSの病態については、四肢末梢(末梢神経系と脊髄および筋骨格系)の異常説と脊髄上位中枢神経系(特に脳)の異常説の2者に大別される 四肢末梢説 神経障害性疼痛 特徴…

幻肢痛の発症における大脳運動野の関与

住谷昌彦、宮内哲、植松弘進、四津有人、大竹祐子、山田芳嗣 幻肢痛の発症における大脳運動野の関与 麻酔 2010;59(11):1364-1369 幻肢痛の痛み 皮膚表在感覚に関連した疼痛 刃物で裂かれるような、電気が走るような、しみるような 運動感覚(自己受容感覚)…

住谷昌彦、松平浩、熊谷晋一郎 痛みの新しい大脳メカニズムと中枢機能障害性疼痛 ペインクリニック 2014;35(9):1191-1198

松本英央、吉川雅博、住谷昌彦、石黒浩 “よい聞き手”を目指した人に同調するアンドロイド 日本ロボット学会誌 2011;29(10):879-882

我々は痛み外来pain clinicの診察にアンドロイドを同席させる実験を行っている 一般的にカウンセリングで重要なことは「よい聞き手」になることだといわれる。そこで、我々のグループでは、この認知行動療法を効果的に行うため、人間に酷似したアンドロイド…

住谷昌彦、宮内哲 痛みのメカニズム 痛覚と痛み認知 OTジャーナル 2013;4(1):10-15

疼痛ー生理的疼痛、病的疼痛 侵害受容器 高閾値機械的侵害受容器(Aδ線維、有髄、30m/sec以下、鋭い一次痛)、ポリモーダル受容器(C線維、無髄、2m/sec以下、局在の不明瞭な遅発性の灼けつくような二次痛) 脊髄後根神経節 脊髄後角 後角灰白質(I~X層)、侵害受…

住谷昌彦、山田芳嗣、宮内哲 幻肢と幻肢痛とは clinical neuroscience 29(8);925-929;2011

幻肢に合併する病的な痛みは幻肢痛と呼ばれ、その発症機序は末梢神経系と脊髄での異常な神経興奮に加え、視床や大脳皮質の体部位再現地図の機能再構築が考えられている 幻肢を随意に運動することができない患者では幻肢と健常肢の運動強調は観察されない 幻…

住谷昌彦、山田芳嗣 神経障害性疼痛の治療 麻酔科学レクチャー  2010;2(4):741-749

神経障害性疼痛の定義 体性感覚系に対する損傷や疾患によって直接的に引き起こされる疼痛 pain arising as a direct consequence of a lesion or disease affecting the somatosensory system 神経障害性疼痛の治療目標 神経障害性疼痛では、神経障害を核と…

住谷昌彦 慢性疼痛のメカニズムと最新治療 PTジャーナル 2012;46(2):111-116

pain matrix S1,S1と視床(とおそらく島葉後部) 疼痛の識別に関連 前帯状回と島葉前部 情動的要素に関連 前頭前野 疼痛にまつわる高次機能に関連 神経障害性疼痛時に特にS1の体部位再現地図(somatotopy)の機能再構築(reorganization)が観察され、罹患部位に…

住谷昌彦、宮内哲、植松弘進、山田芳嗣 Complex regional pain syndrome(CRPS)の中枢神経異常と新規治療 臨床脳波 2010;52(10):549-555

ヒト脳は、自己身体と対象物の位置関係に基づいて空間を認知する様式(自己中心座標軸)と空間内に存在する複数の対象物同士の相対的な位置関係に基づいて空間を認知する様式(物体中心座標軸)の2様式を統合して空間を正確に認識している CRPS患者は明所で…

住谷昌彦、山田芳嗣 慢性疼痛症候群の標準治療 理学療法 2011;28(6):768-775

痛みは、”an unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage or described in terms such damage (組織の実質的ないしは潜在的な障害と関連した、あるいはこのような障害と関連して述べられる不快な感覚的…

住谷昌彦、宮内哲、植松弘進、四津有人、大竹祐子、山田芳嗣 幻肢痛の発症における大脳運動野の関与 麻酔 2010;59:1364-1369

ヒト幻肢痛症例を対象とした脳機能画像研究からは、大脳/脊髄上位中枢レべルでの機能再構築(reorganization)が幻肢痛の発症基盤として中心的な役割をはたしていると考えられている このようなS1/M1(senosorimotor cortex)での体部位再現地図の機能再構築は…

住谷昌彦 東京大学医学部附属病院麻酔科・痛みセンター Practice of pain management 2011;2(3):186-192

医療の現場では、いまだ、慢性疼痛の患者さんは、痛みに対して、「心因性だ」、「もう痛くないはずだ」といわれてしまっているのが現状のようです。こうした会話の一つ一つが、患者さんを苦しめる要因の一つになるため、医療者は発言に十分な注意が必要です…

住谷昌彦、竹下克志、原慶宏、山田芳嗣 痛みの量的評価と質的評価 脊椎脊髄 2011;24(5):354-360

痛みの量的評価尺度 口頭式評価尺度 verbal rating scale 視覚的評価尺度 visual analogue scale 数値化評価尺度 numerical rating scale pain face scale 痛みの質的評価 マギル疼痛評価票 McGill Pain Questionnaire 78個の痛みの性質を表す単語が列挙。疼…

住谷昌彦、山田芳嗣 プレガバリンの臨床 ペインクリニック 2010;31:S271-S277

神経障害性疼痛 Pain arising as a direct consequence of a lesion or disease affecting the somatosensory system 体性感覚系に対する損傷や疾患によって直接的にひきおこされる疼痛 プレガバリン GABAの誘導体 中枢および末梢神経系に広く分布する電位依…

住谷昌彦、宮内哲、四津有人、山田芳嗣 腫瘍幻肢病のメカニズムと治療 日整会誌 2010;84:34-37

幻肢を随意に運動することができる患者は幻肢に病的疼痛(幻肢痛)を伴っておらず、一方、幻肢を随意に運動できなかった患者は幻肢痛を伴っていたことが報告されている。この研究グループは、幻肢の随意運動を伴わない幻肢痛患者が幻肢痛の随意運動を獲得す…

住谷昌彦、柴田政彦、眞下節 ヒト神経因性疼痛とは LiSA 2006;13(9):854-856

神経因性疼痛のうち求心路遮断性疼痛は、体性感覚伝達経路の中断、すなわり侵害刺激が伝達されていないにも関わらず痛みを知覚する病態であり、この体性感覚入力が途絶えるという異常な身体感覚経験が神経因性疼痛の発症機序の一つではないか、と筆者は考え…

住谷昌彦、宮内哲、山田芳嗣、眞下節 幻肢痛の脳内メカニズム 実験医学 2008;26(13):2149-2152

幻肢痛の臨床的特徴 四肢切断時の年齢が低いほど幻肢痛は起こりにくい。先天性四肢欠損患者に幻肢痛が発症することは極めてまれ。→若年者の脳可塑性が高いことに起因 一般に四肢切断前に疼痛を知覚している患者の切断後に現れる幻肢痛の性質は四肢切断前から…

住谷昌彦、宮内哲、四津有人、藤本弘道、石橋和也、本郷由希、喜多伸一、山田芳嗣 療法の考察 高次神経機能に視点を置いた難治性疼痛に対する神経リハビリテーション 理学療法 2009;26(5):649-654

侵害受容器の興奮を伴わない疼痛を病的疼痛と呼ぶ 「心頭滅却すれば火も涼し」の言葉からの想像できるように、われわれヒトは疼痛を大脳認知レベルで修飾することが可能である。 感覚情報はS1だけでなくM1にも連続的に入力し、また運動出力時にもS1が活性化…

安部剛志、住谷昌彦、柴田政彦、前田倫、松田陽一、阪上学、井上隆弥、真下節、難治性疼痛に対する鏡療法の認知行動療法的意義 慢性疼痛 2007;26(1):237-241

鏡療法の難治性疼痛に対する治療メカニズムは、中枢神経系における運動の内部モデル(知覚ー運動ループ)との関連が考えられている。知覚ー運動ループとは、”四肢運動の際に運動の指令に続いて実際の運動が起こり、そしてその運動の結果が知覚(フィードバッ…

住谷昌彦、真下節、宮内哲 難治性疼痛に対する視覚を介した神経リハビリテーション 脳科学とリハビリテーション 2006;6:9-17

痛みは通常、侵害受容器への刺激が、末梢神経、脊髄、大脳へと伝達された際に生じるが、この疼痛伝達経路に損傷をうけると上位中枢への感覚伝達がなくなり(求心路遮断という)、侵害受容器への刺激がなくとも痛みを感じる。これらは神経因性疼痛(抗議に求…

住谷昌彦、宮内哲、前田倫、斎藤洋一、柴田政彦、真下節 幻肢痛とRamachandranの鏡 痛みと臨床 2007;7(1):23-28

幻肢痛でこの知覚ー運動ループについて考えると、「脳からは切断肢を運動する指令(例 姿勢制御など)がつねに発動されているが、実際には切断肢の運動は起こらない為に感覚のフィードバックがなく、視覚ー運動ループの整合性が得られていない」状況であrと…

斎藤洋一、住谷昌彦、真下節、吉峰俊樹 幻肢・幻肢痛のメカニズム 痛みと臨床 2007;7(1):2-7

幻肢痛とは 四肢の切断後、あるいは腕神経損傷などの原因で四肢への神経連絡が絶たれた後に、その四肢があたかも実存するような感じ(phantom sensation)、それが激しく痛む現象をいう 原因 大脳皮質への痛みの刷り込み説、脳のneuromatrix説、大脳および視床…

住谷昌彦、宮内哲、柴田政彦、真下節 病的痛みは視覚と相補的(cross-modal)である 麻酔 2007;56:S71-77

視覚と体性感覚は、身体周囲の環境を知るための環境系として生理的条件においてはお互いの認知に影響を与え合う相補的な(cross-modal)な関係であることが知られている 病的痛みが視覚に与える影響 暗条件では健常者の主観的自己正中はやや左にずれ、左CRPS患…

住谷昌彦、宮内哲、山田芳嗣 CRPSの運動障害の脳内機序と新規治療戦略 Pain Clinic 2009;30(7):922-928

CRPS患肢の運動障害が大脳の特定部位の活動と関連することも明らかにされている ヒトに備わっている各種感覚情報は、身体周囲の環境と環境内における自己身体の位置情報と姿勢を知覚することに利用され、その感覚情報から自己身体の運動イメージを形成し、運…