外来後発医薬品使用体制加算

  • 外来後発医薬品使用体制加算 平成30年4月改定
  • 書類は各地区の厚生局
  • 関東信越厚生局特掲診療料の届出一覧の2-123の2種類(別添2,様式38の3, PDFとword形式)
  • さらにここによると、添付書類(検討委員会の概要)が必要。ひな形あり(感謝)。
    • 追記 この添付書類については、様式38の3の2ページ目の注意1に記載あり。
  • あとは各県の事務所へ提出

慢性疼痛と養育環境 難治化の背景

細井昌子、小幡哲嗣、川田浩、富岡光直、有村達之、久保千春、須藤信之 慢性疼痛と養育環境 難治化の背景 ストレス科学 2011;25(4):289-296

  • 社会的疎外感、死別、不公平な待遇、嫉妬、罪悪感などで活性化される脳の領域が痛みの情動成分に関与する部分と共通することも分かってきている
  • 実際に侵害刺激が加わらない状態でも、人が感じる心の痛み体験がソーシャルペインという概念で提唱されている
  • これらの知見をまとめると家族内及び夫婦間の交流不全の頻度が最も多い。家族や夫婦の関係は慢性疼痛に関与する有用な情報であることが明らかとなった
  • これらの心理社会的背景を考える際に最も重要であるのは、人生の早期の養育環境そのものは患者自身の努力では選べないことから、受動的に体験させられた否定的体験であり、基本的には被害者としての苦悩が根底にあるということである
  • 女性患者の中には親、特に母親の愚痴を、一方的に聞かされてきたため、愚痴を言う、あるいは弱音を吐くことに対して嫌悪感があり、前向きを極端に思考している場合がある
  • つまり慢性疼痛の治療において過去の養育環境が過去のみなく、現在にも大きく影響し、不信に伴う交流不全として治療の阻害要因となっているという現実がある
  • 自分という存在が自分の内面に送る自然な感情や思考に対して、各親がどれだけ敬意持って耳を傾けて受け止めてくれたかという言語的・非言語的な認証が、その後の生涯を通じて持続する自尊感情や自己肯定感を生み出すことに重要となる
  • 養育の過程で失感情症を予防することが慢性疼痛の難治化を引き起こさないために役立つ可能性がある
  • つまり自分の内面に沸き起こる漠然とした否定的あるいは肯定的感情を今ここの体験として自分以外の人間を前に言葉に出して味わい他者に自分の内的苦悩を受容してもらう体験を人生早期に得られたかどうかが、現在自身の感情をモニターして自分の行動を決定することが可能となり、過去や未来に過度ににとらわれことなく現在を生きることができるようになるかどうかに大きく関与しているようである
  • そういった症例ではじっと静止して安静を得ると、内面に大きな否定的感情・認知がわき起こり、その体験に耐えられないという絶望的体験をしていたということが、心身医学的治療の中で明らかになることを多く経験する
  • 週に1、2回の指示的重点的面接で、今まで表出できなかった患者の内面の苦悩を話し合い、治療前に言葉に出して話すことで自分が楽になっていくという体験を積み重ねていく中で、実存的な苦しみを治療対象にするという心理療法が導入可能となるのである
  • 人生最初で最大の不公平な待遇差別となる慢性疼痛の背景にある同胞葛藤に焦点を当てる
  • 心身症の治療において重要となる同胞葛藤は、父親あるいは母親のうち、家庭内で大きな影響力をもっている親からどう評価されてきたかがより重要なポイントとなっているようである
  • 慢性疼痛女性患者の母親たちは息子たち(患者の同胞)に愛を注ぎ、娘(慢性疼痛患者)に愚痴を言い、母親への検診を要求したものの、患者の母親と兄や弟の嫁との葛藤関係(嫁姑葛藤)の問題が起こり、結果的には関係が決裂し、同胞葛藤に悩み 兄や弟に嫉妬し続けた患者へ助けを求めてくる場合が多い。
  • 幼少期に愛を得られず、父親に対する愚痴を聞かされてきた患者は、さらに母親の兄や弟、およびその嫁に対する愚痴を聞かされ続け、自分の人生を犠牲にするような行動を取り続け、幸福感を得られないまま日常生活を送っていることがある
  • 周囲の家族に対する献身的な行動に伴い心身の疲弊のなかで発症した身体的痛みに、人生で最初で最大の不平等である同胞葛藤がsocial painとして合併し、慢性疼痛患者の体験する苦悩が深まっているようである
  • 養育慰安強にかかわる慢性疼痛の難治化の背景 両親や同胞への心理的葛藤や家族内交流不全、失感情症、虐待歴や心的・性的トラウマといった大きな3つの因子がある

(いつもながら示唆に富む論文である)

慢性痛患者の評価

柴田政彦、井上隆也、住谷昌彦、村松陽子、真下節 慢性痛患者の評価 麻酔 2008;57:1337-1342

  • すなわち、”痛み”を診るだけではなく、もっと重要なことは痛みを訴える”人”を診られるようにならなければならない
  • 患者の痛みの変化とその理由付けとの医学的な因果関係はないと思われる場合も多く、途中で否定的なコメントをはさみたくなるなるのであるが、初診時には患者が判断している因果関係を否定することも肯定することもなく黙って聴き、患者本人の病気や痛みに対する考え方やとらえ方をしることに役立てる。
  • 機能評価は痛みそのものの評価よりは客観性が高いものの、客観性の乏しい痛みを含んだ評価であることを忘れてはならない
  • 慢性痛の治療において、痛みが軽減すれば機能は改善するであろうという前提で痛みの軽減だけを目標に治療することは、治療の可能性を狭めてしまう危険があり注意が必要である
  • 非がん性慢性痛患者の治療の方針は、痛みの消失ではなく、痛みを有して生活している患者の生活の質の改善に置くことを原則とすべきである
  • 心理的評価の中で”うつ”の評価は最も重要である。うつ病は知らずに放置すると自殺により命を失う危険があり、適切に治療すれば治癒可能な病態であるからである。うつの診断でもっとも重要なのは問診である。抑うつ気分、意欲の低下、希死念慮の有無、不眠や食欲の変化などについて問診する。それらの症状が、以前と比べてどうであるかが重要である

「身」の心身医学 からだの声、こころの声を聴く

中井吉英 「身」の心身医学 からだの声、こころの声を聴く 環境と健康 2011;24:40-48

  • 身につまされる、身の振り方、身を立てる、身を尽くす、身にあまる、身から出た錆、身を入れる、身支度、身につく、身がもてぬ、身の程知らず、身を捨ててこそ、と言った具合に、「身」という言葉は身体も心も縫合した全体を表す言葉として平安時代より使われてきたといわれています
  • 市川裕 身の構造ー身体論を超えて 講談社学術文庫 1993
  • 身につけるというのは考えなくてもできるようにするおt、芝居のように心を表現するように演じるのとは違い、能が無心で舞われることとも深い関係があるように思います
  • 「身」を診ることは、先述したように心身を含めた全体、いわば身心一如の所見を診ることです。
  • 身心一如を最初に行ったのは栄西です
  • 「身」の所見の例
    • 呼吸:患者の呼吸の深度により情動状態を推測する
    • 手掌:発汗の程度により緊張度を推測する
    • 爪:爪は6ヶ月で生え変わる。横溝の位置で(横溝は杖の真ん中で3ヶ月)心身の過労、病気、ストレスなどがあったことができる。この患者では3本の横溝がはいっており、2,3,4ヶ月前に心身の過労があったことが分かる。マニキュアによる爪の炎症ではなく、横溝を隠すためにマニキュアをしている
    • 瞳孔の大きさの程度により自律神経機能の状態を診る
    • 舌歯圧痕
    • 僧帽筋の緊張と圧痛
    • 胸鎖乳突筋の圧痛は目からくる疲れ
    • 深部腱反射の亢進はneuroticな状態を表す
    • Arm drop test:全体の緊張度を診る

Prevalence of symptomatic lumbar spinal stenosis and its association with physical performance in a population-based cohort in Japan: the Wakayama Spine Study

Ishimoto Y, Yoshimura N, Muraki S, et al : Prevalence of symptomatic lumbar spinal stenosis and its association with physical performance in a population-based cohort in Japan: the Wakayama Spine Study. Osteoarthritis and Cartilage 2012;20:1103-1108

  • Wakayama spine study
  • 1009 men 335 women 674 volunteers
  • A mobile MRI (Excelart 1.5T, Toshiba)
  • A well experienced orthopedic surgeon diagnosed whole participants by history taking, physical exams and MRI
  • The diagnostic criteria for symptomatic LSS used in the present study were based on the LSS definition from the North American Spine Society (NASS) guide line, which requires presentation of both LSS symptoms and radiographic signs of LSS.
  • radiographic classification of LSS none/mild/moderate/severe
  • Radiographic LSS also required the severity to be more than moderate and the radiographic finding needs to be consistent with the symptoms and outlined above.
  • The percentage of participants with moderate or severe radiographic central stenosis was 76.5%, while the prevalence of symptomatic LSS was 9.3%
  • in conclusion, the present study clarified that the prevalence of symptomatic LSS was about 10% in a cohort resembling the Japanese general population.
  • コメント
  • 変形性関節症、肩腱板断裂など画像の偽陽性の報告は多い
  • 本検討のデータより、76.5%にmoderate/severeの画像所見があったが、症状があったのは9.3% つまり画像所見があったうち、12.2%(9.3/76.5)しか症状を伴っているに過ぎなかった。
  • 画像所見があって、症状がない(偽陽性)は87.8%ということになる。
  • discussionの中では、この偽陽性については全く触れられていないが、臨床的に貴重なデータと考えられる。

痛みの責任は誰にある?

柴田政彦、榎本聖香、山田恵子、藤野裕士 痛みの責任は誰にある? 日臨麻会誌 2017;37(7):838-843

  • 国際疼痛学会の定義 痛みは実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはこのような損傷を表す言葉は使って述べられる不快な感覚・情動体験とされている
  • さらにこの定義に続く注釈の中で、「痛みは常に主観的なものであり、人は小児期の外傷などの経験と通じて、「痛み」という言葉の使い方を学ぶ」と解説されている
  • 傷み 損傷を意味する injury 傷みはpain
  • 日本語ではinjuryとpainとが同じ音で表現されている。すなわち、会話などの音の情報の場合には「痛み」と「傷み」の区別が困難で、文脈からその意味を判断することになる
  • われわれは、自分自身の経験から、「痛み」と「傷み」とをあまり区別せずに会話しており、医療者として患者を診る場合にもその区別があいまいなまま診療してしまうことがあるようだ。
  • しかしながら、痛みの原因を特定できない慢性痛の診療を行っていると、このわれわれ自身の「いたみ」に対する捉え方のあいまいさが、「痛みの責任」の所在がどこにあるかの判断のあいまいさに影響しているのではないかと気づく
  • 痛みは「不快な感覚・情動体験」であるので、その体験が自分以外の他者に伝わる場合には、「痛いという言葉にして発する行為」、「顔をしかめる」「足を引きずる」などの「痛そうなしぐさ」など、他者と共有できる何らかの行動が不可欠である
  • 「痛み」は「行動」として表出されなければ他者に共有されることはない。すなわち痛みそのものは客観化できないもので、客観化しているものは痛み行動である
  • 慢性痛には、オペラント条件づけによる痛み行動の強化が寄与しているとかんがえられいる
  • 訴訟の場においては、痛み行動を強化する周囲の要因や痛み行動の強化に関連した本人の資質などに関連する情報がない状況で、裁判官は何らかな判断をくださなければならないという矛盾がある
  • 不公平感の評価尺度

図2の採血などの血管穿刺を受ける前にお読みくださいは、全ての採血に掲示が必要であろう

救助者として登場するもゲームを繰り返す線維筋痛症の2症例

井上敦裕、芦原睦、古賀七葉 救助者として登場するもゲームを繰り返す線維筋痛症の2症例 交流分析研究 2017;42(1):38-44

  • 症例Aのゲームは、「こんなに無理をしているのに」である
  • Aは「無理をして世話をしていたのになぜ叱られたのか、こんなはずではない」という思いを抱いた。そして仕方なく世話をやめ、結末として、「こんなに頑張っているのにわかってもらえない」というラケット感情を表出した
  • 症例B 相手のためを思って行動していたが、家族や仲間に迷惑をかけていると感じ、結末として「無理に仕事を引き受けて同じことを繰り返してしまうダメな自分」というラケット感情を感じることになった
  • Aがゲームを演じていた原因 生育歴や生活環境
    • 幼少期に受けた父親からの虐待や両親から見捨てられた体験が根底にある
    • 居場所のない家庭の中で、唯一母親的な存在であった祖母の介護をすることがA自身の居場所を作っており、祖母を亡くしたことが少なからずゲームを演じる原因として影響を与えていると考えられる
    • 「こんなに頑張っているのにわかってもらえない」というラケット感情を味わっており、そのラケット感情がストレスとなり疼痛の増悪に結びついていると推測される
  • Bがゲームを演じていた原因 生育歴や生活環境
    • Bは幼少期より支配的な姉に仕事を押し付けられ、面倒と思いながらも反発できずに引き受けていた。それを続けるうちに、頑張っていないと自分は認めてもらえないと考えるようになったことが仕事を引き受けることにつながっていると考えられる
  • ゲーム分析により自身の演じているゲームに気づくことのみでも症状の軽減にはつながったが、介入により行動変容がなされるとより効果的であると推察された
  • 両者とも始めは「救助者」として登場し、相手のためを思って行動していたが、途中で症例Aは「迫害者」に役割交換する「無理をしている型」、症例Bは「犠牲者」役割交換する「お節介型」のゲームを繰り返していた