くり返す子どもの痛みの理解と対応ガイドライン(改訂版) 子のこころとからだ 2015;23(4):477-487
- もし、子どもの痛みが、くり返して何度も起こってくる場合には、解決されていない身体的疾患の存在に加えて、心理社会的な影響も考慮する必要があります
- 子どもの訴える痛みがどのようなものであっても、「放置してよい」「仮病」「気のせい」と片づけないで、子供と家族との訴えを受けとめて、丁寧に説明と指導を行い子どものつらさに寄り添う姿勢が大切です
- 痛みは大人でも客観的評価が難しく、表現力や語彙の乏しい子どもではなおさら困難です
- 痛みが自覚症状で主観的である以上、対応は痛みへの共感という子どものこころに寄り添うことから出発しなければなりません
- 子どもが痛みを訴えたときに、適切な対応がなされない場合どうなるのでしょうか。後年痛みに対して過敏になり、成長後の痛みへの反応の個体差にも影響するといわれています。これは年少児の痛みが成人の、疼痛性障害に関わっていることや、被虐待児に疼痛への過敏性(または鈍感さ)がみられることでも示されています。このことは、慢性疾患や医学的処置によって引き起こされた子どもの痛みに対して適切な処置をすることが、子どもの疼痛のコントロールやその後の人生に、大きな影響を及ぼすことを意味しています。
- 被虐待児にみられる痛み
- 被虐待児では、さまざまな痛みを訴えることがあります。
- これらはすべて外傷性記憶によるフラッシュバックや、解離とそこからの回復と関係していると考えられます。また痛みの類似の感覚で、痒みや身体的違和感が同時に亢進することがあるので、「そのようなことはありえない」と否定しないようにします。