痛みのClinical Neuroscience

痛みのClinical Neuroscience (雑誌 最新医学 連載)

#1 牛田享宏 痛みのシリーズを始めるにあたって 最新医学 70(7): 1262 -1265 2015
#2 小山なつ, 等誠司 痛みの概念を歴史から振り返る 最新医学 70(8): 1690 -1693 2015
#3 北原雅樹 生物心理社会モデルから見た慢性痛への対応 - 諸外国の状況も含めて - 最新医学 70(9): 1852 -1855 2015
#4 中村裕之, 三苫純子 慢性の痛みの疫学 最新医学 70(10): 2016 -2020 2015
#5 井関雅子 痛みの分類と評価法 最新医学 70(11): 2166 -2170 2015
#6 笠原諭 心理生物学的モデルに基づく慢性疼痛の精神心理分析 最新医学 70(12): 2538 -2542 2015
#7 細井昌子, 柴田舞欧, 岩城理恵, 安野広三 慢性痛難治化の心理社会的因子 - 養育スタイルとアレキシサイミア - 最新医学 71(1): 104 -107 2016
#8 谷口亘, 中塚映政 脊髄機能変化と痛み - アロディニアなどのメカニズムを巡って 最新医学 71(2): 266 -269 2016
#9 田口敏彦, 柴田政彦, 北原雅樹, 牛田享宏 本邦における慢性痛対策 : 見えてきた課題 最新医学 71(3): 426 -439 2016
#10 山本隆充 進化する脊髄刺激療法 (SCS) 最新医学 71(4): 848 -851 2016
#11  成田年 慢性疼痛におけるエピジェネティクス機構の理解 最新医学 71(5): 1006 -1011 2016
#12 野間昇  Functional Pain Disorder 1. 口腔顔面痛 最新医学 71(6): 1190 -1193 2016
#13 三木健司, 史賢林, 行岡正雄 Functional Pain Disorder 2. 身体症状症 (機能性疼痛・中枢機能障害性疼痛と線維筋痛症) 最新医学 71(7): 1366 -1373 2016
#14 柴田政彦  Functional Pain Disorder 3. 複合性局所疼痛症候群 最新医学 71(8): 1710 -1713 2016
#15 赤居正美 痛みとプラセボ効果 最新医学 71(9): 1858 -1860 2016
#16 冨永陽介, 北原雅樹 オピオイドがもたらす功罪 最新医学 71(10): 1986 -1989 2016
#17 戴毅, 野口光一 痛みに対する漢方とニューロサイエンス 最新医学 71(11): 2134 -2138 2016
#18 2017 田代雅文 痛みのカウンセリング - 承認から受容, そして変容に至る道のり - 最新医学 71(12): 2482 -2485 2016
#19 沖田実, 片岡英樹, 濱上陽平, 中野治郎, 坂本淳哉 不活動性疼痛に対するリハビリテーション戦略 最新医学 72(1): 106 -109 2017
#20 堀越勝 慢性疼痛の認知行動療法 最新医学 72(2): 274 -281 2017
#21 西原真理, 竹内伸行 痛みを中心にした感覚情報処理と精神機能およびその障害 最新医学 72(3): 430 -433 2017
#22 岩下成人, 福井聖 痛みと脳機能・脳器質変化 最新医学 72(4): 590 -594 2017
#23 田中聡, 川真田樹人 遷延性術後痛 最新医学 72(5): 746 -749 2017
#24 佐藤純 気象痛 最新医学 72(6): 890 -892 2017
#25 住谷昌彦, 大住倫弘, 大竹祐子 Sensori-motor Integrationと痛みの慢性化 最新医学 72(7): 1034 -1038 2017
#26 星山栄成, 辰元宗人, 堀江淳一, 椎名智彦, 平田幸一 神経内科疾患と慢性疼痛 最新医学 72(8): 1176 -1180 2017

旭川医科大学病院緩和ケア診療部

阿部泰之 旭川医科大学緩和ケア診療部 Locomotive Pain Frontier 2017;6(1):40-43

  • 患者さんに痛みをいったん「全部なくせいないもの」と認識してもらうことが重要であり、さらに医師である私にも明確な答えがないことを開示して関係を作っていくのがよいと考えています。
  • ですから私は「よくしてあげる」という意味のことは言わず、「ちょっとはよくしてあげられるかもしれないけれど、その方法が今はまだ私にはわかりません。あなたが「効いた」と思う治療が結果的に良い治療ということだから、一生懸命診るので試しながらやっていきましょう」とお話しています。
  • この関係性の構築、いわば治療構造こそが慢性疼痛の治療においては重要であり、これが築けた時点で救われる患者さんも少なからずおられます。
  • 患者さんには「痛みはどんどん変わっていきますから、前に使って効果がなかった薬でも、時期が違えば効果を示すことがあります。「前に効かなかったから」と選択肢をなくさないようにやっていきましょう」と最初にお伝えしています

認知症とは何か

小林直人、田子久夫、丹羽真一 認知症とは何か 臨整外 2017;52:605-609

  • アルツハイマー認知症 Alzheimer's disease AD
    • 60%
    • 緩徐進行(年単位で悪化)
    • 近時記憶障害(最近生じた出来事の記憶が欠落、スクリーニング検査で3単語の遅延再生が不可、即時再生はかなり進んでも可能)
    • 物盗られ妄想
    • 取り繕い反応
  • レビー小体型認知症 dementia with Levy bodies DLB
    • 10-20%
    • 動揺性の記憶障害、幻視(非常にリアル)、動作緩慢・小刻み歩行・振戦といったパーキンソン症状の3つのうち2つ
    • レム睡眠行動障害(睡眠時に大声、奇声、手足をばたつかせる)
    • 向精神病薬で副作用を起こしやすい
  • 血管型認知症 vascular dementia VD
    • かつては日本で最も頻度が高いといわれていたが、ADの増加ともに減少
    • 階段状に悪化(脳血管障害の出現ごとに機能低下)
    • ADとくらべて、歩行障害、易転倒性、構音障害、嚥下障害を認めやすい
    • 遅延再生できる ヒントを与えると正答につながりやすい
    • 100-7などの簡単な計算ができない。
    • 流暢性(りゅうちょうせい)傷害 野菜の名前がでてこない
    • 無気力・無意欲・易怒性・攻撃性亢進などといった感情障害も目立つ
  • 前頭側頭葉変性症 frontotemporal lobar degeneration FTLD
    • 50代前後の発症、若年性認知症の中心的疾患
    • 初期のころに記憶障害が目立たない
    • 前頭機能の低下とともに、衝動性の亢進を来たし、「我が道を行く的言動」が目立ってくる
    • 常動的周遊、時刻表的行動
    • 社会的逸脱行為

慢性痛患者の心理アセスメントのキーポイント 慢性痛と怒り

田村雅文、有村達之、細井昌子 慢性痛患者の心理アセスメントのキーポイント 慢性痛と怒り 日臨麻会誌 2017;37(3):388-396

  • 痛みの強さそのものよりも理不尽感を治療対象とする認知的アプローチは、慢性痛患者において有用であると筆者は考える
  • ”取り返しのつかない損失を被った”という理不尽感の概念で説明すると、そもそも理不尽なので合理的に考えても解決不可能な問題であるから、損失については悲しむという”喪の作業”が役に立つ
  • placebo effect vs nocebo effect
  • 病歴を単にとるのではなく、これまでの医療機関や治療者との関係性を中心に聴取し、その上で医療不信や期待外れだったことを訪ねていくと、怒りが表出される。治療者がその感情を承認する形で治療関係を築いていくのである
  • ラケット感情とは、さまざまなストレス状況において経験されるなじみ深い感情であり、子供時代に学習され、親によって推奨されたもので、成人の問題解決の手段としては不適切なものである。Englishは、本物の感情を覆い隠す代理感情であると唱えている
  • 怒りは現在に関する感情である
  • 悲しみは過去に関する感情である
    • 治療者が「過去の損失に対するあなたの怒りは当然ですよ」と認証して、怒りの感情が消化されたころを見計らって悲しむことを提案し、患者が受け入れたらともに悲しむ作業をするというのは有効である
  • 恐れや不安は未来に対する感情である
  • 花岡 感情に時間的な順序をつけるために役立つ質問
    • あなたはこれから何がおこることを恐れているのですか?
    • あなたは、今、何を変えたいと思って怒っているのですか?
    • あなたは、何に対して、もう帰ることができないと悲しんでいるのですか?
    • 感情の時制と機能を理解し、あらためて本物の感情を体験し直し、それに沿った適切な行動を選択することにより、役に立たないラケット感情から抜けだすことができる

posttraumatic anger 理論的背景と臨床的意義

大江美佐里 posttraumatic anger 理論的背景と臨床的意義 トラウマティックストレス 2014;12(1): 53-60

  • 扁桃体を主体とした辺縁系 攻撃行動
  • 眼窩前頭皮質、前帯状皮質を中心とした前頭葉 抑制調節機構
  • 感覚系での処理、認知的評価の過程での要因により攻撃行動として表出されるかどうか規定される
  • Chemtob 
    • 怒りは認知、覚醒、行動の3つの領域からなる戦闘トラウマにおいて怒りは侵入症状であり、かつ覚醒亢進と敵意評価、対抗する行動の調節不全であると考えた
    • 調節不全に至る過程には脅威構造と関連しており、一定以上の脅威とみなされた場合、生き残りモードになり、攻撃行動を起こすとした
    • この理論には脅威による怒りの賦活だけでなく、抑制系も織り込まれているのが、特徴である。
    • 怒りの3領域の間には門があり、そこでの閾値によって怒りが行動面に現れるのか、認知レベルでおさまるのかが決まるとしている。
    • PTSD患者の場合、脅威の認知にバイアスがかかっており、通常であれば大きな脅威と感じられないような事柄に対しても脅威であるとして覚醒亢進状態になり、脅威構造から怒り構造へ移る
    • そして、関門の果たす閾値機能が働かず、最終的にはその場の文脈に全く適合しない形での怒りの噴出、攻撃行動が生じてしまうとしている
  • トラウマ体験後に頭の中でいつも思い返していること(rumination)が怒りの出現に関与している可能性も示唆された
  • 怒りは人間(被害者である自分、加害者である相手、援助者)を対象としたものもあれば、理不尽、不公平、運命といった、人物でないものに向けられる怒りもあることを説明している
  • 緊急事態から「脳・こころ・身体」が回復するしくみ pdf

digital signage

  • なんちゃってdigital signage
  • 用意したもの
  • データ
    • コンテンツをスライド・ショーで掲示
    • powerpointのスライド・ショーは時々クラッシュする。画面共有をつかって作動チェック
  • スライドのコンテンツ1
  • スライドのコンテンツ2
    • 更新されるwebsiteのような動的な情報の埋め込み